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工事にかかったの間接費を配賦する方法は?事例やシステム化などの必要性は?

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こんにちは、co-chanと申します。
普段は東北6県の販売管理システム系営業をしており、たくさんのお客様への提案や問題解決を行っております。

今回は、建設業者様でよくある悩みごとのひとつである、工事の間接経費の配賦方法について、私が回った実際のお客様事例や、システムでの対応の必要性などをお伝えできればと思います。

工事の原価「直接費」と「間接費」とは?

工事には工事を完成させるためにかかる費用、いわゆる”原価”が発生し、原価には「直接費」と「間接費」が存在します。

直接費はその名の通り、直接的に「特定の工事にかかった費用」というのがわかるものが対象です。
例えば、工事に使用する材料費、特定の作業を下請け業者にお願いした分の外注費、工事に使用した機械のリース料や損料、燃料費などの「諸経費」などなど、特定の工事に対しての費用とわかるものが工事の「直接費」としてあげられます。

一方で間接費は工事には関わっているけれども、どの工事分とも振り分けられない費用のことを指します。
例えば、作業員の方が仕事をするときに着るユニフォーム代やヘルメット代、いろんな現場を回って運送を行う車両にかかる燃料費、細かい所で言うとまとめ買いしておいた接着剤やクギ・ビスなどの消耗品、複数現場回る管理者としての人件費などなど。(場合によっては、販売費及び一般管理費として扱っているケースもあるかもしれません。)

このあたりの区分けについてあいまいな部分は、顧問会計事務所などに相談して、品目ごとにどう取り扱うか指示を仰いてください。

間接費を配賦する必要性

間接費をそのままにしておくと、費用としては発生しているのにどの工事の原価にも上がっていない状態になってしまいます。

これによっておこる弊害が
・工事の粗利が不正確なものになる
・営業利益があてにならなくなり、経営者の舵取りが難しくなる

といった状態になってしまいます。
特に業種によっては間接費の割合の方が多い企業もあり、何かしらの方法で各工事の原価として間接費を「配賦」して、落とし込んで管理する必要があります。

間接費の「配賦」とは?

「配賦」は、間接費を特定の条件に基づいて算出した、工事毎の基準率に準じて振り分けすることを指します。

例)
間接費 100万円を基準率を基に振り分け

工事名基準率振分け間接費
A工事20%20万
B工事30%30万
C工事50%50万
合計100%100万
間接費の配賦例

簡単に表現すると上記表のようなイメージとなります。
実際はこの基準率を算出する方法や、対象となる間接費の計算など細かい作業が必要となってきます。

具体的な配賦方法事例

ここからは実際のお客様事例で、間接費の配賦の方法を挙げていきます。

工事の請負金額比率

工事別の請負金額(契約金額)に応じて間接費を配賦する方法です。

金額の大きい工事ほど発生する間接費も大きくなる、という考えをもとに算出する方法になります。

欠点としては、請負金額が分からない常傭工事などについては対応できない(しづらい)という点になります。

例) 間接費 100万円を基準率を基に振り分け

工事名請負金額基準率振分け間接費
A工事200万20%20万
B工事300万30%30万
C工事500万50%50万
合計1,000万100%100万
間接費の配賦例 請負金額比率

工事の発生原価(直接費)比率

工事別にすでに発生している原価(直接工事費)の比率に応じて間接費を配賦する方法です。

工事の進捗状況が進んでいる=原価がかかっている工事ほど間接費も発生しているという考えを基に算出する方法になります。

欠点としては、工事の原価の発生タイミングとして、着工直後と竣工前に多くなるケースが多い為、配賦時期によっては工事に割り当てられる金額に偏りが出てしまうという点です。

例) 間接費 100万円を基準率を基に振り分け

工事名発生済原価基準率振分け間接費
A工事20万20%20万
B工事30万30%30万
C工事50万50%50万
合計100万100%100万

工事の作業人工比率

各工事に対して作業員が働いた時間や日数(人工)を基準に間接費を配賦する方法です。

人工を基に請求する常傭工事や、間接費が主に人に関わる経費についての比重が高い場合などに採用される基準です。

欠点としては、作業員の日報の集計作業が必要になるため、記載漏れや遅れないように提出の順守を社内で徹底する必要があります。また、作業員がおらず外注メインの業態の企業はそもそも使用できません。

例) 間接費 100万円を基準率を基に振り分け

工事名人工数基準率振分け間接費
A工事4人工20%20万
B工事6人工30%30万
C工事10人工50%50万
合計20人工100%100万

工事の売上比率

工事別に売上が上がっている金額を基準に間接費を配賦する方法です。
請負金額比率に近いですが、毎月出来高で売上を上げている会社や、少額工事・常傭工事など工期の短い工事が多い会社で採用されていることがあります。

欠点としては、売上を計上するタイミングが頻繁ではない工事を行っている会社では、配賦タイミングによって偏りが出てしまうので適用が難しいです。

例) 間接費 100万円を基準率を基に振り分け

工事名売上額基準率振分け間接費
A工事100万20%20万
B工事150万30%30万
C工事250万50%50万
合計500万100%100万

その他、会計事務所やコンサル会社の指示で独自の配賦を行っている企業もあります(燃料費の車両別走行km基準とか)が、主に上記のような基準で工事別に間接費を配賦して管理しています。

必ずこの業種はこの方法で配賦する、といった明確なルールもないため、自社にとって一番適切な基準をご検討ください。

間接費の内容によって配賦基準を変えることも

一概に統一した基準で配賦するのが簡単ではあるのですが、場合によっては配賦対象の間接費の内容によって、配賦基準を変えているケースもあります

例えば、作業員に関わる間接経費は「人工比率」、材料の消耗品に関わる配賦については「原価比率」しかも「材料費分だけ」など、もとの金額に則した基準を選択して配賦方法を変えるケースもあります。
その分手間はかかりますが、配賦の割り当て対象の金額がより正確になりやすいというメリットもあります。

工事が大きくなればなるほど間接費も大きくなり、配賦の重要性も高くなります。
よって、より細かい単位・基準での配賦を行っているケースも珍しくありません。

配賦を行うタイミング

配賦は必ずこのタイミングで行うという厳格なルールはありません。

最終的には決算を行う期末時点で、配賦された金額が工事に割り当てられていて、工事が完成していれば「費用」に未完成であれば「未成工事支出金」に経理の科目として割り振りできればOKです。

もちろん期中にこまめに配賦することで、毎月の工事の状況を正確に把握できるというメリットがあります。
配賦計算の手間と、資料を確認するメリットとの比較で自社にあったタイミングを検討してみてください。

システム管理することでのメリット

このように、配賦についてはさまざまなパターンと計算方法があるため、計算の都度面倒な手間をかけることが多くなりがちです。

頻度がそれほどでもなければ良いのですが、より細かい周期で配賦を行う場合は配賦機能付きの原価管理や会計システムを検討すべきです。

システムであれば基になるデータの入力に従って自動的に配賦を行ってくれるので、計算ミスの不安と作業の手間から解放されます

また、間接費の取り扱い以外にも、工事の資料を作る手間もいちいちExcelで作成するなど不要になるので、すべてにおいて業務が円滑に回ります。

システムによってできる配賦基準があったり、入力画面や集計の印刷が異なるので、その辺はよく検討した後に導入するようにしてください。

以上、建設業の間接費の配賦について、わたしが対応した実際の経験に基づいた方法とシステム化のすすめでした。

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